11月13日 津波被災地を歩く。

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総括 ひどく疲れました。 体力的にも、精神的にもです。 約8ヵ月後に行った私でもここまでくるんです、直接的な被災者はこの比ではないでしょう。私はその事実を、今回実際に歩くまで実感することができませんでした。“直接的な被災者”が身近(親類)にいたにも関わらず、です。ですから、津波を直接体験しなかった方や、県外の方にこの感覚を理解しろという方が難題なのかもしれません。私でさえも完全に理解はできていないのですから。   ここ数ヶ月、私は震災関連の話題については卑屈な感情しか持っていなかったように思います。   県外の方の話を聞く機会がありました。 ニュースではほとんど流れない、もう終わったものだと思っている、と。   口で綺麗事を言いながらも自分の身だけは守ろうとする偽善に幾度も晒され、誰も信じられなくなりました。   東北地方の物は一切口にしないと豪語する輩に、生産者ではないにも関わらず、酷く心が痛みました。   テレビでは東京が多く特集されるので、東京を目の敵にし、憎んでいる被災者も多くいます。   もちろん被災者全員がこうではないでしょう。でも、私がこのような体験をしたことも事実です。もちろん、私が当たられた時もたくさんありました。どうすることもできなくて、ただただ心が痛みました。   私は中途半端な存在です。 被災地宮城県の民でありながら、どちらにも深く共感することができません。 自分は被災者と名乗っていいのか悩んだ時期もありました。そんな時期に絆だの繋がりだのと言われると、「綺麗事を言うな」「反吐が出る!」と当たり散らしたこともありました。 そしてその度に、自分が当たられた時に言われた言葉を繰り返していることに気づき、酷く後悔しました。
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