♣は四つ葉に

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 隼人は陵を知らない。陵が行方不明になった後の果歩と知り会った。  居なくなった奴なんか眼中になかった。そこに現れたのが陵の弟と名乗る人物、慎。  (しかも陵の携帯を持ってやがった)  ベッドの横のテーブルに白い薬袋が置いてある。  陵が居なくなってから不眠に陥った果歩が飲んでいる睡眠薬と安定剤だ。  (弟が今さら何なんだよ)  兄に代わって謝罪か?    ふざけるな。  果歩が眠そうに身体をくねらせる。  その額に隼人は口づけをした。朝の光に果歩の白い肌が眩しい。  布団を剥ぐと果歩の肢体が露(アラワ)になる。  「恥ずかしい」  背中を向ける果歩を背後から抱き締める。  果歩は抵抗するが、隼人の力にかなわない。  果歩を腕の中に収めても、まだ隼人には物足りない。  身体を求めて、果歩の胸に顔を埋める。  「あ」  弱々しいうめき声も、めくれる唇も愛しくて離したくない。
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