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実は9月11日に会ってから、慎から連絡があった。
「また連絡する」という言葉を信じていなかったから、メールがあったときは素直にうれしかった。
果歩は慎とメールのやり取りを続けていた。
兄を小学生のときに失ったという慎の事を思うと胸が痛む。
慎の兄は果歩にとっても大事な存在、恋人だった。東京に出てきて初めての頼れる男性。
慎と果歩は別々のところで大事な人と時間を過ごし、その人を同時に失った。
同志のような想いが生まれてきている。
(わたしたちは、同じ人に育まれてきた)
隼人が恋人になったからには、陵の事を考えるのは終わりにしなければ。
そう思えば思うほど、慎と話したくなる。
慎が知っている陵の姿を聞きたくなる。
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