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ジョイは高架下に近いところにある。暴風がコンクリートに当たって渦巻いて襲ってくる。
「だいじょうぶ?」
果歩の手をつかんだ手があった。
前が見えなくて、一瞬つかんでくれた手が誰の手か分からない。
ジョイの店の前で、慎が果歩の手をつかんだと知って、ほっとした安堵(アンド)感が体中に広がる。
(この人は店の外で待ってくれてたんだ)
雨に濡れた慎のシャツは透けて中のランニングが丸見えだ。
つかんでくれた慎の手もひどく冷えていた。
「中に入ろう」
手をつないでジョイに入る。
店内の冷房のひんやりとした空気に包まれたら、急に寒気を覚えた。
店の中は同じように嵐に遭遇した人でいっぱいだ。
慎が前もってとっておいてくれた席に着く。途端に緊張が解けて、果歩はぐったりと頭をテーブルにもたれかけた。
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