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「薬とか飲まなくていい?」
差し出された水。ためらって、断る。
「この薬、なめたら効くから」
薬を舐めながら、バックの中のタオル地のハンカチで顔や首筋を拭く。
慎は手を伸ばして果歩の額に張り付いた髪を分ける。
(隼人と全然違う指先)
知らずしらずのうちに隼人と比べている。そして陵に似たところを探している。
果歩は、かっと頬が熱くなる。
「しばらく出られないかも」
果歩の赤い顔を見ながら、慎は微笑んだ。
「ゆっくり話せるよ」
それは初めて会ったとき、タクシーの中でも果歩にかけた言葉。
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