台風②

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 「薬とか飲まなくていい?」    差し出された水。ためらって、断る。  「この薬、なめたら効くから」  薬を舐めながら、バックの中のタオル地のハンカチで顔や首筋を拭く。  慎は手を伸ばして果歩の額に張り付いた髪を分ける。  (隼人と全然違う指先)  知らずしらずのうちに隼人と比べている。そして陵に似たところを探している。  果歩は、かっと頬が熱くなる。  「しばらく出られないかも」  果歩の赤い顔を見ながら、慎は微笑んだ。  「ゆっくり話せるよ」  それは初めて会ったとき、タクシーの中でも果歩にかけた言葉。
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