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トイレは混んでいて、待っているうちに果歩の気持ちは少しずつ落ち着いてくる。
鏡で姿をチェックして整えてから席にもどると慎は窓の外を考えるように眺めていた。
嵐の街を哀しそうな目で見つめている。
それをじゃましないように、果歩は静かに席についた。
その姿を確かめて慎は陵に似たまなざしを果歩に向けた。
「兄の話なんだ」
思いがけない話、いや予想できる話だ。そのためにジョイに来たのだから。
果歩は姿勢を正した。
「兄は行方不明ということだけど、実は生きているんだ」
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