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果歩は凍りつく。
燃え上がる血流が一気に冷めていく。
頭の中でココンと音がして、気がつくとジョイの窓に頭をもたれかけていた。
「10年も時間があったよ?」
かすれた声。冷房でひんやりと冷たいガラスの感覚が、頬に心地よい。
熱くなってバカだ、恥ずかしい、大人にならないと、そんな気配りはもう出来なかった。
「10年も時間をいただいた上に、時間をくださいなんて」
慎が頭をテーブルに深く突き刺すかのように押し付けた。
「どうか」
まだ濡れたシャツ、髪の毛も乾いていない、そんな姿で。
「……もう少し時間をください」
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