♠弟

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 相手はうろたえて  「それは……お世話になりました」 と礼を述べる。  「今日はどのようなご用件ですか?……兄は具合が悪いものですから」  「陵くん、あ、いえ」  果歩はあわてていた。いつも呼んでいた呼び方が出てしまう。  「陵さんは具合が悪いんですか?」 「……」  考えるような沈黙。  重い沈黙のあと、相手は口を開いた。  「失礼ですが、この番号をどこから知られたんですか」
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