♠弟

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ーーーーー ーーー ー  息を整えるかのような沈黙。稔は機械的な感情のうかがえない声で突然、話し出す。  「またこちらから連絡させていただきますので……」  そして稔の静かな声とともに、電話が切れた。  「ちょ」  (ちょっと待って)  ブツッという無愛想な音とともに一方的に電話が切れる。  「どうした?」  隼人が果歩の携帯を奪い取るも、果歩は座り込んだまま。  何がなんだか……。  (もうわからない!!!)  ふと、テーブルにおいた沼田慎の名刺が目に入る。  (ここまで来たら、『毒食わば皿まで』よ) ーーー毒を食わされて黙ってはいられない。  果歩は静かに名刺を眺めた。  「ここに明日、電話してみる」  「は?実家だったんだろ、なにも分からなかったって……?」  「隼人の言うとおりだった…」  (あたしはバカだ。だまされたんだ)  「沼田慎は陵くんの弟じゃないなんて」
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