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「ごめんなさい」
甘美な時間を壊したのだ。隼人の誘いに応じることが出来ないことに、果歩は謝るしかない。
「今日の事、やっぱ、落ち込んでるよな」
果歩の肩まである黒髪を優しく撫でてくれる隼人。
(ううん)
果歩は、首を振る。
(そうじゃないの)
(あたしの中に、いつの間にか慎の存在は大きくて)
突き刺すようになっていた。
これは同志としての好意なのか恋なのか愛なのか。分からないけれども懐かしい甘い気持ちを踏みにじられたことが、やはり悔しい。
裏切られた憎悪さえ感じる。
同時にそれは隼人への裏切りだ。
恋人とふたりで抱き合っている時でさえ、入り込んでくる止められない慎への感情。
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