♠会社

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 9月22日午後。  台風一過が嘘のように、その日の東京は晴れ渡っていた。  慎は午前中に外回りを済ませ、午後は浜崎の案件のヒヤリングで社に戻っていた。  浜崎は初めての外仕事を何とか順調に進めているらしい。  依頼主の嫌いな舅の散歩を長引かせてほしいという依頼だ。  浜崎はどうやらうまく舅と仲良くなることに成功したらしい。  「このおじいちゃん、怖い顔しているんだけど、かなり話が面白いんです」  順調に仕事をこなしているようで、得意げに報告をする。  「散歩に連れてるプードルがまた可愛いんです。それでね、名前が『プー』って適当すぎません?」  慎も沢森も浜崎の話に引き込まれて笑ってしまう。
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