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社長と慎のふたりになってから、慎は社長からメモを見せられた。
「電話で一方的な話だったから、沼田に確認してから、折り返し連絡すると伝えたのだが」
前置きはそこそこに社長が話を切り出す。
「君は沼田陵という人物を知っているのかい」
「ええ、兄です」
歯切れよく慎は答えた。
悪い予感がする。
「花井さんという人から午前中に電話があったのだが」
また考えるように眉間にしわを寄せて社長がメモを見る。
「うちの沼田慎という人物が、沼田陵の弟と名乗って花井さんに会いに来た。実家に問い合わせると沼田慎は弟ではないと言われたということなんだが」
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