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スマホの地図を見ながら、慎は歩いていく。
「『ラリオン』まで、GPS使って来たんです」
「『ラリオン』のこと、陵くん、話してなかったの?」
果歩は小走りで慎についていく。慎は歩くのが速い。
「聞いてないです」
しかも慎の息は少しも乱れていない。
「兄が行方不明になったとき、小学生だったんで」
(慎さんって、わ、若い……)
「僕、家にいるときの兄しか知らないんですよ」
慎は淡々と話しながら歩いていく。
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