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(動かない……)
果歩のお尻が痛くなってくる。座席が硬くて腰がつらい。
(本当に)
(混んでるなあ)
夕方の道玄坂は、やっぱりとても混んでいる。
果歩と慎は並んでタクシーの後部座席に座るのみ。
「せっかくですから、ゆっくりしましょう」
スマホを操作しながら、慎がポツリと話しだす。
「あ、これ」
果歩は握りしめていた陵の携帯を差し出した。
「じつは興味あるんじゃないですか?」
また慎が意地悪な顔をする。
(やなやつ)
でも、懐かしい感覚がまた沸き上がってくる。
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