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街はどんどん暮れていく。
道玄坂下に入った所で、慎はタクシーを停めさせた。
「すんません、混んでいるしここで降ります」
料金がかさむことを気にしてか、慎はタクシーを降りる。
慌てて果歩も慎に続いてタクシーを降りる。
果歩は料金を支払っていたときに運転手に声をかけられた。
「お客さん、何か落とされましたよ」
財布を取り出した時に、薬局の領収書が落ちたらしい。
お礼を言って、領収書をバックに入れ直す。
「どうしたんですか」
先に降りた慎が、スマホを上着の内ポケットに入れながら話しかけてくる。
「あ、ちょっと落とし物をしただけだから」
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