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陵と過ごした日々は鮮やかによみがえってくる。
春。
電車の窓からは、薄いピンクの桜が次から次へと見えた。
お台場海浜公園に向かう電車の中。
あたたかな春の陽射しのなか、海が光を反射してまぶしくかった。
海からの風が強くて、思わず陵のパーカーにしがみつく。
あの時の優しいお日さまの匂い。陵の、安心できる匂い。
今こうして思い出すと、果歩の鼻の奥が疼(ウズ)く。
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