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(たまに陵くんムカつく事してたけど)
意地悪な陵を思い出して感傷を落ち着かせる。
「いじわる?」
思わず、果歩はつぶやいてしまった。
果歩の脳裏に慎が浮かんだ。
(イヤイヤ)
別人だから。
(弟だから似てるんだって)
電車のアナウンスが池袋駅到着を告げている。
(危ない、あぶない)
ボンヤリしていると降りそこねる。扉の前に移動した。
すると、ぐでんぐでんの酔っ払いが電車の扉近くに座り込んでいた。
「姉ちゃん」
果歩が、無視して降りようとしたら
「泣いとるんか?」
浅黒い顔が果歩を見上げた。汚れた顔で、目は虚ろで死んでいる。
吐きそうになって、電車を降りた。駅のトイレはまた混んでいる。鏡の前に立って、メイクを直す。
「電車おりたよ」
「ケンタにいる」
隼人の返信はまた早かった。
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