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陵の携帯は弟の慎の手に渡っていた。
て、ことは、と果歩は急に恥ずかしくなる。
(あの中には、あたしの陵くんへのメールがいっぱい入っているんだ)
顔が熱くなってくる。果歩はテーブルに突っ伏す。
(弟にあたしのメール、やっぱ見られたよね?)
なんて書いたかは、はっきり覚えていないけど、
すっかり取り乱したメールもあったと思う。
「隙(スキ)あり!」
隼人が絶妙なタイミングで、わきを叩く。
その手を払いのけて果歩は後悔した。
「弟が携帯を見せてくれたとき、あたしのメールを消せばよかった」
落ち込む果歩の頭を隼人がなでなでする。
「電源、今も入るんだ」
「まだ使えるよ。今日もその携帯からメールがきたし」
ふうん。
隼人は再度、首をかしげる。
「料金はどうなっとるんやろ?」
頬杖をついて隼人は、
「ま、別にどうでもええけど」
と言った。
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