♥の苦悩

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 「以上でよろしいですね?」    いそいそと確認を済ませて、店員が部屋を出る。  隼人と果歩は、沈黙の中に残された。  「ごめん」  「なんで謝るんだよ?」  隼人の苛立った声と軋(キシ)む合皮のソファー。  「今……歌えないよ」  (陵くんを想い歌ってしまったらきっと泣いてしまう)  そんな果歩の心のうめきを隼人の肩と腕が庇うように抱いた。
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