――とある天界にて――

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「行っちゃったよ君の親友が」 「・・・・・・・・」 ラグニィが見上げた緑の木の上にはちょっとボサボサの灰色の髪で左目(当人から見て)のしたに泣きボクロがあり白のジーパンと黒いTシャツに白銀のジャケットを着た少年が木にもたれていた。首もとに十字架のネックレスをぶら下げていて差し込む夕日に照らされ輝いている。 少年はなにやらだるそうにラグニィを見ていた。 「何かね?私に絡まれるのはそんなに嫌かね?」 「悪いけど僕は困っているおじいちゃんには荷物を持ってあげたりするくらいには年上は好きだ。でも残念だけど君は消したいくらい嫌いだ」 少年はラグニィを見る目は変えない。しかしラグニィには十分過ぎる程の殺気を感じていた。少年は鋭い目をしていた。 まるで飢えた鷹が獲物を狙うような目。その目にラグニィは少しビクつく。あの少年に睨まれても何も感じなかったのにこの少年の目はとても恐ろしくラグニィの心を食い殺してしまいそうだった。 「まぁでも君がなんて言おうと彼が行くことは変わらないし君にも必ず行ってもらう。それに君の思い通りになったじゃないか。彼が記憶を持ったまま君と会っていたら彼はどんな反応を示していただろうね?」 ラグニィはニヤケ顔で話す。しかしその顔に少し怯えている様子が伺えた。少年はそれを見てニヤッと笑い口を開く。 「フン、実際僕が仕事をしやすいように記憶を消した訳じゃないだろ?見え見えの嘘は僕を苛立たせるだけだ」 そう言って少年は立ち上がる。 「まぁ今回だけだ。本当なら君側になんてつきたくはなかったが。ま、この件が片付いたら一番最初に君を消しに行くから、覚悟しててね」 そう言うといきなり激しい爆発が起こった。そして煙が消えるころには少年は既にそこにはいなかった――――――
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