第一章 夢

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 一週間に一度、夏休みだろうが何だろうが構わず活動する新聞部。主な活動内容は学校で起きた様々なことを小冊子やプリントにして配るというもの。  夏休みは人がこないので配らないが、始業式になると一カ月分を増刊号と称して配布する。  こういうものはあまり読まずに捨てられるものだと思っていたのだが、編集者である部長の腕が良いのか、全校生徒のほとんどが毎週これを楽しみにしている。  ちなみに部長は神崎。現在三年生の部員がいないから、ということらしい。そして俺は、こないだのことを許して欲しければ手伝うようにと脅されていた。 「うん、ありがと。これで今週分は大丈夫そうね」  俺が調べたメモを受け取ると、彼女は笑みを浮かべた。 「でも明日は学校入れないだろ。てか夏休み中はもう入れないかもしれないぞ」 「まあ、そしたら図書館かしらね。幸い部員はみんな図書館の近くに住んでるし」 「そう、か」  うん、と楽しそうに笑う彼女を見て、俺はどうしても謝らなくてはいけないと思い、しかし踏みとどまった。あのときのことを、こんなことだけで許してもらっていいわけがない。
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