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俺の彼女に対しての罪は、こんなに軽いものじゃない。謝って許してもらえるようなものでもない。俺は一生を掛けてでも償わなくてはならないのだ。たとえ彼女がそれを望まなくとも。俺にはそれしかできないから。
「どうしたのよ」
ぼーっとしていた俺の目の前にいつの間にか神崎の顔があった。驚きはしたが、それを何とか表に出さずに済んだ。
「いや、なんでもない」
「嘘。絶対に何か隠してそうなんだけど」
「本当に何でもないんだよ」
「ならいいけど、私に隠し事するのは、できる限りしないでね」
念を押すように言われ、俺は無言で頷いた。だが、もともと隠し事などするつもりはない。少なくとも、彼女が知るべきことは、絶対に。
「それにしても、最近多いよね。自殺」
「ん? そうなのか?」
このところまともにテレビや新聞を見ていない俺にはさっぱりだ。自殺者が増えている。まあ、そんなことは聞いたことはあるが、また最近増えたとでも言うのだろうか。
「あれ、知らないの? ここ最近、この区の学校だけで二十人以上が自殺してるんだよ。って、学校サボってた人にはわからないか」
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