第一章 夢

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 そして私は目覚めたのだ。夢の中に、あの記憶を置き去りにしたまま。  何か。何か得体の知れないものが私の中に?  そう思った瞬間、体中に寒気が走った。身体が震え上がり、床に尻餅をついてしまった。  私の中に何かがいる。そしてそれは、私の嫌な思い出を忘れさせている。もしこのままこんなことが続いてしまったら、私は相馬くんとの出会いを、大切な思い出を忘れてしまうかも知れない。  今回のように、思い出すきっかけなど皆無に等しいあのときのことを。
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