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神崎からのメールに起こされ、俺はそれを迷惑だと思いながらも起き上がった。そして窓際まで行くとカーテンを開いた。
すると彼女が微笑みながらこちらに向けて手を振った。向こうはすでにベランダに立っていて、こちらもそうするようにと指示された。暗い夜、月明かりの下で密談とは、なんとも怪しいなと思いながらもそれに従う。
「で、なんだ?」
「うーん、そうね。大した用じゃないんだけど、ちょっとしたお願いがあるの」
満面の笑みをその美しい顔に浮かべ、何の迷いもなく答えた。それはまるでどこぞのお嬢様のような身勝手さに見えなくもないが、俺は彼女のためにならなんでもすると決めたわけで、特にこの行動に腹を立てることはない。むしろ頼ってもらえていることに喜んでいるといってもいい。
「大した用じゃないのにこんな夜中に起こしたんだな? よし。その大した用じゃない用よいうものを聞かせてもらおうか」
「うぅ、なんか負けた気分……。と、とりあえず率直に言うけど、私が寝てる間、傍で見ててもらえない、かな?」
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