第一章 夢

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     1  まだ八月に入ったばかり。夏休みと言う名の長期休暇もまだまだある。  正直俺は、夏休みが好きではない。まず今では大半の高校に冷暖房が完備されているというのに、何故このような長い休みを用意するのだろう。  そして何故この夏休みの中で夏期講習を設けるのか。こんな自主参加のものがあるから、同じ学年の中で大きな学力の差が生じるのではないだろうか。  こんな不公平なものが好きであるという人間の気持ちなど理解できない。  しかし、しっかり欠かさず夏期講習に参加している俺がそんなことを言ったところで説得力がないので、一度だって口にしたことはない。  別に周りに遅れを取るのが嫌だから、わざわざ白いチョークで黒板に書かれた字や、補足などをノートに書き写すわけではない。  俺は一学期の半分近くをサボタージュしてしまい、強制的に参加を余儀なくされてしまったのだ。何故半分近くも行かなかったのか。それは別に大した理由ではなく、ただ学校に行くのがダルいと感じていたからだ。
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