第一章 夢

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 これまで小学校、中学校と、目立った休みがなかった分、俺の行動は目立っていた。何せ、病欠すると連絡して、近くのコンビニに買い物に出ただけでサボっただろと言われるくらいだ。  だから一学期の後半は休むことなく通ったのだが、終業式間近になって、担任からこのままだと出席日数が足りなくて進級出来ないと脅された。  しかし夏期講習などに出席していれば、なんとかなるかも知れないというのだ。俺はそれを真に受け、今に至るというわけだ。  だが、一学期の前半は前学年の復習がメインで、俺は大して遅れを取っていない。そもそも、休んでいる間に二年生で習う内容の半分以上は頭に入っている。その上、一昨年の冬に隣に引っ越してきた家族の一人が俺と同じ学校に通っていて、俺が休むと必ずノートを持ってきてくれていた。  その彼女も、この夏期講習を受けている。席も隣だ。しかし何故彼女は夏期講習を受けているのだろうか。彼女は一日たりとも休んでおらず、成績も学年順位で上位に位置している。そんな彼女が参加している理由はなんだろうか。 「相馬くん、授業終わったよ」
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