第一章 夢

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 俺の名前を呼ぶ声のするほうを見ると、先ほどの話の少女、神崎愛美の人差し指が俺の左頬に触れた。 「ふふ、引っかかった」 「お前、ホントやることがガキっぽいぞ」  今の俺の言葉で、満面の笑みで喜んでいたのが一変し、両頬を膨らませ、あからさまに不機嫌な顔になった。 「な、なによ。子ども心を忘れまいとする私をバカにするの?」 「おい、それだとお前が不機嫌になるのは間違いだろう? ガキっぽいと言われたら喜ぶべきだぜ」 「へ、減らず口!」  そう言って先に帰ろうとする彼女の手を、俺は無意識のうちに握っていた。  当然彼女は驚いた顔でこちらを見ている。 「どうせ隣なんだから、先に帰ってもしょうがないだろ」  とっさにそう言っていた。こんなこと、言ってはいけないのに。 「なんで?」  俯いて、彼女は呟いた。 「なんで相馬くんは、そんなこと言うの?」 「……悪い。こんなこと言うつもりはなかった――」  言いかけて、窓の外を何か大きなものが落ちたのを見た。鳥なんかよりも大きな、飛んでいるわけでもなく、ただ落ちている。  窓の側に行き、鍵を開けていると隣に神崎が寄ってきた。 「どうしたの?」
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