第一章 夢

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     2  屋上から飛び降りたのは、一年生の男子生徒。死因は頭を強く地面にぶつけたことによる脳内出血。と言われるものだと思っていたのだが、落ちる際に怖さの余り、ショック死してしまったということだそうだ。  地上六階建ての屋上から落ちたというのに、目立った外傷はほとんどなく、検死を行った人も驚いていたらしい。  そして彼は入学当初から虐めの対象になっていたらしい。それも、担任の教師が率先してそれを行っていたというのだ。親や警察にいうようなら、殺すなどと脅され続け、今日という日を迎えてしまった。  当然、その担任の教師は懲戒免職処分とされ、他にも男子生徒四人が退学処分となった。  しかし自殺した男子生徒は、遺書などを残していなかった。自宅の自室や、彼のクラスの教室、家族や友達の思い当たる場所を探しつくしたが、結局見つかることはなかった。  というのが二日前、俺と神崎が見た自殺の実態だった。 「こんなもんでいいか?」  夏休みというのに俺は報道部の活動を手伝っていた。
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