1、

5/14
前へ
/17ページ
次へ
ー城東埼玉高校 校門 城東埼玉高校は駅から離れており、電車を使っている生徒はスクールバスを利用していた。 今日は入試のため、受験者用のスクールバスが出ている。 少年も電車で来ていたので、そのスクールバスを待っていた。 「山下ぁ~」 少年は山下と呼ばれた。 後ろを振り向くと、小柄でショートカットのいかにも中学生と思うほどの少女がいた。 「何、桜」 少女の名前は『桜』という。 「一緒に帰ろっ。家近いんだし」 山下は桜に向かって軽くうなずくと、ウォークマンをダウンジャケットの右ポケットから取り出し、音楽を聴き始めた。その山下の態度に少しムッとする。 「ちょっと!一緒に帰るんだから音楽とか聴かないでよ!」 山下はそれをムシする。 大音量で聴いているため、声が聞こえないのだろう。桜はこれに激動する。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加