976人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
なんて緊張感があり、緩やかな時間なのだろう
終わるのが嫌だったり、早く終わってほしかったりと、奇妙な気持ちが入り混じる
ブラボーの喝采にめまいがした
控室では倒れ込み、何度も深呼吸をした
見回すといくつもの花束が置かれてあった
その中に名前のない花束が一つ…
沢田さんだ!
すぐにわかった
私はドレスのまま会場の庭園にでた
そして大声で『沢田さん!』と叫んでみた
でも返事はなく私はまた控室へともどっていった
その時携帯が
『ポプラちゃん、演奏とてもよかったよ。楽しそうに弾いてた』
『沢田さん、今どこに住んでるんですか?』
『田舎だよ。農家が嫌で東京でてきたのにな。泥まみれで働いてるよ。ポプラちゃんが立派になってよかった。お互い頑張って生きていこうな、桜子に笑われないように』
そういって電話は切れた
そしてそれが私のファーストラブだった人との最後の電話だった
最初のコメントを投稿しよう!