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「サンキュー! 助かるよ! 名前は?」
「名前? 何だ貴様、桜を探していたくせに、桜の名を知らぬのか?」
「ソーリー桜! 俺は退院したばかりなんだ。やっと仕事に復帰できると思って帰ってきたら、屋敷が突然揺れて、アメージング!」
「あめじ……驚きのことか」
「わっけわからない状況で、間取りも変わって知らない部屋ばかりだった」
本来なら、ドレッドノートの言葉のほとんどは鎌倉に生きた者には理解できない。
が、桜は違った。特別だった。
彼の身振り手振りから言葉の意味を察し、柔軟過ぎる思考でそのほとんどを受け止めた。
「おまけに知らない女性に晩餐会の準備までやらされ、貴女を探してこいだとさ!」
「ほう」
「あ、俺ってやっぱ女性の頼みは断れなくてさ! まったくもってミラクルだ、ぜ!」
「主が言っていることはわけが分からないが、主も混乱しているのだな」
桜の言葉に、ドレッドノートは胸を張り、そこに拳を置く。
「ジャスデューィ! けれど俺は誉れ高き長門の執事! 客人をエスコートすることにかけてはプロなのさ!」
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