万里料間の章

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慎の鼻孔に暖かな匂いがした。これはみそ汁。途端、彼の胃に熱がこもる。 「十代目の試練は……大食いなのか?」 文がみそ汁をすすり、言った。 「違うね、慎。十代目国の試練は、はじめ『ここにある器具と食材で、存分に料理を作れ』というものだった」 光が背後のキッチンに振り返る。 「この料理たちは、文お婆様が作ったのですか?」 「……ああ、そうだえ」 「文婆ちゃん、料理できたのか……」 「……お前ら孫が生まれるまでは、陣に飯を作ってたのはワシだえ。 まあいい。だが作った途端、この十代目は『作った料理をすべて平らげろ』と言ってきた」 「な、何だよ、それ。この量、10人前はあるぞ。やっぱ大食いじゃねえか」 国は茶をすすり、慎達を見据えた。 「それがこっちの試練の本髄や。それにしてもよかったなぁ、文。胃が張れるまで1人で食うところ、家族が現れた。ほれ、皆で食えばいい」 慎が「へ?」と言って、国を見た。 「そっちら家族全員で食うことも、認めよう、とこっちは言ってるんや」 光が呟いた。 「血族による、家族の試練……」 国は少し首を傾げ、現在の長門家家族たちを睨んだ。 「……どうした? 冷めないうちに座りや。家族で同じ卓を囲い、飯を食うこと。これほど簡単な試練はなかろう?」  
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