プロローグ

2/7
前へ
/124ページ
次へ
風が吹いてきた。 春には不釣り合いな冷たい風だ。それらは弱りきった俺の体全身に容赦なく突き刺ささる。 (ここは・・・・・・どこだ? ここは・・・・・・いったい・・・・・・) 家だった物はすべて焼け落ち、廃墟と化している。辺りはいくつもの死体が転がり、腐敗臭が鼻を襲う。 俺は静まり返った村を一人、ふらふらと歩いていた。 隣国のミストクラウン帝国がここタラントへ侵略してきたのはつい一週間ほど前だった。 国境からかなり離れた所に位置する俺の村は帝国の予想をはるかに上回る侵攻の早さに対応できなかった。 そして、俺の村は 一瞬で壊滅した・・・・・・。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加