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「もしもし、」
「あ、亮くん?
ちょっと人が多くて…。」
「うん、カフェの前にいるよ。見えた?」
「あ、いた。見えたよ」
そう言って独特のふんわり笑顔で向かってきたあいつ。
…あいつのあぁいう仕草がかわいいんだよな。
って俺は何を考えてるんだろう。
「あのさ亮くん、今日ってさ…」
「分かってるよ。
出会って3年目、だろ?」
俺が即答するとちらっと見えたあいつの頬は嬉しそうにピンクに染まっていた。
「ふふ、覚えててくれたんだ。でも亮くんそういうの忘れちゃいそうなのに。」
「それ、どういう意味だよ。てか当たり前だろ。」
「んふふ、でもありがとう。」
「…さっきから色々となんなんだよ」
俺がそう言ったっきりあいつは携帯の向こうで黙りこんでしまった。
言い過ぎたかな…と思いつつも今、あいつが考えていて欲している言葉が頭に浮かんだ。
「………なあ、」
「…ん、なに?」
「やっぱ何でもない。」
「…………亮くん意地悪いよ。」
「うん、知ってる。」
「嫌いになっちゃうよ?」
それは困るとか他愛もない話を続けてると、あんなに多かった人は俺達だけになっていた。
あいつを見ようと顔を上げたときに目に入ったのは寂しそうに、拗ねているように口を尖らせて俯くあいつ。
あ、やべ………かわいい。
そう思った時には口に出していた。
「なあ…?
…………………愛してるよ。」
「……………っ私も。」
俺達を繋ぐ赤い糸のような言葉。
ただの言葉だけど俺達にはこれが全て、
『愛してる』というそんな言葉。
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