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初任務
『山井、任務だ』
『にんむ?』
試験も無事に終わり(宗隊長の脅しのため)見事飛び級で隊長になった少女、イズルに片品隊長が紙を渡す
飛び級なのは能力が認められたからではなく、祖父の威厳による
少女は渡された紙をみつめる
『お前の一番隊の隊員をつれて見回りだ』
『見廻りかよ~。戦闘にしろよぅ』
少女は口を尖らせ嫌そうな顔をする
片品隊長は気にも止めない
恐らく少女がこう言うことを予想してたのだろう
『お前にはまだ早い。それに見廻りも大事な仕事だ。何が行ってもふしぎじゃねえんだ』
この町は治安が悪い、と片品隊長は眉間に皺を作る
『!じゃあ怪しい奴見かけたら撲殺して…『駄目に決まってんだろ。』
イズルが言い終わる前に片品隊長が口を挟む
『なんでだよ~ばか野郎ぅ。』
『怪しい奴を見かけたら直ぐに報告しろ。いいな。』
そう言うと、片品隊長はイズルに携帯位の大きさの機械を差し出す
『…?何これ何これ?』
イズルはその機械に興味津々なようだ
機械に顔が着くぐらい近くで見ている
はっきり言って近すぎである
『それは地図つき電話だ。隊長達がどこにいるかわかるようになっている。それで一番近くにいる隊長に応援を頼め。もし怪しいやつがいたらな。』
『…』
『分かったか?』
さっきから少女は機械から目を離さない
すると少女は何かをポツリと呟いた
『格好いい…』
『は?』
!
片品隊長が驚きの声を上げると少女は急にバッと顔を上げる
『っなんだよ。このやろー。べっ別に本当に隊長みたいだって喜んだりしてないからなっ!』
イズルは真顔の顔を真っ赤にして、焦ったように言う
それを見た片品隊長は驚きで目を丸くする
こいつ、隊長に興味があったのか……
今までの隊長に憧れている素振りなんて微塵も見せなかった少女が、たとえ嘘でも格好いいとか細い声を発した事に驚きを隠せなかった
片品隊長は何も言わず少女を見つめていたが、しばらくの沈黙のあとフッと口角を上げ
そして少女の頭に手を伸ばすと優しく髪を撫でた
まるで猫を撫でる飼い主のように
すると後ろに眼帯を結んだ紐に触れたのが分かった
パさッ
『あ』
片品隊長が紐に触れたせいで緩んでいた紐が取れた
『や、やばば!』
少女が短い悲鳴を上げる
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