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『ああ、何かと心配でな。イズルその顔止めろ。』
『……』
『ほ、ほらイズル。隊長よんでんぞ。あれでも偉い人なんだからちゃんと聞けって』
いっこうに顔を変えないイズルに永住隊長がコソっとイズルに耳打ちをする
『……』
それでもイズルの顔は変わらない
『…………、はあ、これだからお嬢様は。』
片品隊長は意外や意外に
大人の対応をした
内心は、冷ややかではなかったが
隊士の手前、新人の隊長にキレるなどという無様な事はしたくないのだろう
しかし、この自分の理性を守るためにした発言は直ぐにとりけさなけばならない事に、片品隊長はきづく
何故なら一般隊子はイズルがお嬢様だという事はもちろんしらない
立場的に上の片品隊長が新人で入ったばかりの隊長にお嬢様というのは不自然であった
このままではイズルがコネで入った事がばれ、騒ぎになりかねない
吉良市ニヤ副隊長もそれにすぐに気付きざわつく隊子達に弁解するように言葉を発する
『そうですね片品隊長。私はそのあだ名もピッタリだと思います。』
その言葉に隊子達や片品隊長までもは同じ事をおもう
『『『『『『あだ名?』』』』』』
『イズル隊長の仕草は洗練され(ある意味)美しい、にも関わらず誰にでも平等(立場知らず)に接してくださる姿はまるでお嬢様。隊長達はそうお思いになれ親しみをこめてお嬢様、と呼んでおられるのだ』
もちろん口からでまかせなのだが隊子達を騙すには充分だったようで、隊子達はなるほど、と納得したように頷いていた
この嘘で隊子達はよりイズルをより尊敬する事になりコネで入ったイズルにとっても利益となるのだが、イズルは眉にシワをよせあからさまに怪訝な顔をしていた
それは片品を困らせる発言の予兆
そしてそのカウントダウンが始まる
イズルの嘘暴露三秒前
二秒前
イズルは息を吸い、微かに口を開く
一秒前
片品隊長はその様子に気付き、まずい、とおもい慌ててイズルの口を押さえた
『モゴゴ!』
見事に危機を脱した片品隊長は安堵の溜め息をつく
次に手を振り払おうともがいているイズルにコソッと耳打ちをした
『イズル。この事ばらそうとしたら、見回りは宗と一緒にするぞ』
思わぬ爆弾投下にイズルは顔を青ざめ
大人しくなった
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