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毎度お馴染みの展開。相変わらずの事に思わず僕は溜め息を洩らしてしまう。何故にいつもこうなのか。このような生活がかれこれ一年も続いているのだから、強情・頑固と言う他ないだろう。
こうなったら背に腹は代えられぬ。
「いつまで引き込もってんだよ。いい加減出てこい」
最後の警告のつもりで声を掛けるが、やはり何の返事もない。それどころかキーを叩く音が大きくなるばかりである。こうもコミュニケーションが取れなくては話が一歩も前に進まない。仕方なく咲の母親から預かった合鍵を使い、部屋に入ることにした。年頃の女子の部屋に勝手に侵入する不届きを許せ。
がちゃり。
固い感触と同時に扉が開く。
流石にこの事には直ぐに気付いたらしい咲は、刹那、扉を開けた僕の方に振り返った。
「え、嘘、なんで」と咲は当然ながら狼狽を顕にする。「どうして鍵を」
「無理言って合鍵を預かったんだ。さあ、学校に行くぞ」
ひらひらと鍵をかざしながら簡単に説明すると、咲の腕を掴み立たせようとする。が、彼女はそれを拒むように手を払い除けた。
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