雷跡15 霧の向こう

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「良かった。 全員無事か?」 「「はい!」」 良かった…… よし、早速状況説明を行わなければ…… 「もう、みんな分かっているだろうけど、先ほど、この基地は米軍の空襲を受けた。 攻撃を仕掛けてきたのはQA-47B無人攻撃機だ」 「無人……って、3佐、未来の米軍ですか!?」 驚いた表情で宮島が言う。 「そうだ、俺達がここにいるんだ。 米軍だって此処にいてもおかしくない」 「そんな……」 肩を落とす。 悲観視しているのだろうか? 「いいか、確かに攻めてきたのは未来の米軍だ。 しかし、俺達は未だ負けたと決まった訳じゃない。 早急に陣地を移動。 俺達だけでも先に行けとの西岡1佐からの命令だ」 「と、言うことは、米軍と闘うんですか?」 「当然だ」 「……」 予想は出来ていたが、やはりみんなの顔は暗い。 テルラもそれを察する。 何せ、敵は世界の警察を名乗れるだけの戦力を持った米軍だ。 今までの米軍なら大した事は無かったが、未来の米軍となると話は別。 更に、先ほど攻撃を仕掛けてきたQA―47Bは艦載機型の無人機だ。 となると、洋上に空母……それも、原子力空母がいる可能性が高い。 当然にして、空母がいるとなればそれを中核とした航空機動艦隊が形成されている筈だ。 俺達だって艦隊ごと飛ばされた。 相手も艦隊ごと飛ばされてもおかしくはない。 みんな、それを気にしているのだろう。 「心配するな、俺達には米軍ですら持っていないASSがある。 それに、俺達のような技術者だって、向こうにはいない筈だ! 移動準備開始! 必用装備を車両に搭載した後、マウナケア山に向かう!」 「了解!」 みんなの声が、南の島に木霊した。 同時刻 日本軍ハワイ島指令部 関本視点 私は、復旧作業が行われている基地で早々にして戻る支度をしていた。 『きい』に戻る支度だ。 大規模な方針の転換を求められた現在、私には丘に居場所がない。 元々、私の居場所は海の上であり、更には指揮をすべき部隊は戦車隊ではなく、艦隊だ。 従って、これより艦隊に戻り、私は自衛艦隊の指揮を取る。 当然にして、米航空機動艦隊との対決に向けての指揮だ。
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