プロローグ

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ビービービー ビービービー 緊急地震速報の様な悲鳴が機内に響いた。 普通のヘリコプターであったらエンジン音でかき消され、電話に出る事所か着信を知る事すらできなかっただろう。 しかしそこは政府専用機。 キチンと防音処理してあるのだ。 胸ポケットから携帯を取り出し、急いで電話に出る。 一番来てほしくない部諸からの電話であった。 「私だ」 ゆっくりと出る。 「はい。 こちら防空情報監視センターです。 たった今、相模湾沖や鹿児島沖能登半島沖など6か所から弾道ミサイルと思しき飛翔体が確認されました」 やっぱりこの情報だ。 「核ミサイルか?」 すぐさま聞く。 「いいえ、現時点では判別不能です」 「東京に向いたミサイルはあるか?」 「はい。 弾道計算の結果、それぞれのミサイルの目標は在日米軍基地を狙っているものと思われます。 ただ・・相模湾沖から発射されたものが横須賀か東京か半々で…あっ、他にもミサイルが・・ 今、ロストしました」 「ロストだと! 見失ったというのか!?」 「はい。 つい先ほど新たに幾つかの飛翔体が観測され、観測されてからすぐにオブジェクトをロストしました。 ステルス等といったものでは無く、恐らくは小型ミサイルと思しき飛翔体が迎撃したものと思われます」 「そうか。 その近くの海域に艦隊がいたのか。 良かった。 他のミサイルは?」 「はい。 いすれも後4~5分で着弾するものと思います。 やはり防空システムが完成しているわけでは無いので迎撃は難しいです」 2020年完成を目標に計画していた「千代田計画」 莫大な予算を使って計画された千代田計画とは急なミサイル攻撃に対処するために24時間体制で常に監視、迎撃措置を取る事が出来るようなシステムを作る計画である。 議会などに用意周到な根回しを行ってやっと通った法案も遂にはさほど意味の無いものになってしまった。 「そうか・・ とりあえず私の名を使って基地や周辺自治体に避難命令を出してくれ。 今は移動中で出来ん」 「いや、すでに発令されています。 有事法につき我が機関の権限で出させていただきました」 「そうか。 ご苦労。 すまないが1度切るぞ」 そういうと増渕は電話を切った。 「フー」 小さくため息をつく。
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