プロローグ

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非常に好ましく無い状況に落とされてしまった………。 心の中でゆっくりと呟くと眼下に広がる東京の夜景を眺めた。 向かいの席に座っている秘書も状況が読めたらしく、静かに増渕を見つめた。 …一体今までの努力は何だったのだろうか…。 また心の中で呟く。 大学生時代は左翼過激派としてデモを行い、反原発を唱えた。 しかし、恋人が出来てからは一度冷静になり、愛国主義者として右、左を共に嫌う立場になった。 そして国会議員を志願。 見事に当選をし、同じく議員の父親のコネを使って総理の場に立ったのだ。 勿論、右翼議員として叩かれた。 愛国主義者=右翼という間違った固定概念が執着しているこの日本(くに)では無理なしょうがない現象なのだろうか? しかし、増渕はそれでも必死に熱弁した。 右左どちらの立場にも立たずにしっかりとした意見を持って話している。 そうアピールしたのた。 しかし、マスコミは違った。 本当にマスゴミだった。 関心するほどに話した言葉を省き、組み換える。 ある段落の前提があったからこそ正しい意味で理解出来る段落も前提の段落をカットされ、違う所に貼り付けられた。 また、「間違った、偏向を加えた報道をしないように」と言った途端、「民主主義の報道を否定する右翼」や「報道規制をする議員」等と即座に叩かれた。 所詮はメディアも商売なのだ。 メディアが民営化され、規制の無い好きな報道を出来る様になっているのは、独裁政治等がされていないか国民が監視出来る様にするためである。 しかし、そのメディアも「利益」というフィルターにかけられるのだ。 所詮はメディアも企業。 企業なので情報を操作するのは必然的なのだ。 だから偏向が入るのだ。 そこで逆に増渕はメディアに裏で金を送ったり、防衛省情報局の諜報員でマスコミ幹部の弱みを握ったりした。 するとどうだろうか? いきなり右翼発言が変わり、とりだたされなくなり、影が薄くなった。
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