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しかし、目視や双眼鏡では、偽装している俺達を見ることはできない。
すると、右隣りにもう一つ砲塔が見えた。
天板の無い砲塔。
恐らくM18駆逐戦車、ヘルキャットだ。
そして左隣にもう一つ砲塔が見える。
あれ?
砲塔か?
角が丸まった形をしたもの。
かなり小さい
大きさからして、恐らく軽戦車クラスの戦車砲塔であろうが、砲身が無ければペリスコープどころか何もない。
のっぺらぼうな砲塔だ。
「なんだあれは……」
隊長も分からない様だ。
すると、先ほどのT-20とM18が稜線を超えてきた。
安全と判断したらしい。
更に続けて数量のT-20やM18が出てくる。
しかし、あののっぺらぼうはそのままだし、第一、陽炎の量があの数ではとてもではないが足りない。
だが、それも間もなく解決する……
「うわぁ……来たなぁ……」
その2両の後に続けてきたのはM4A3E2……通称シャーマンジャンボ。
そして戦列を並べたM6重戦車。
2個戦車中隊はあろうかという規模だ。
しかし、この程度なら5式戦車中隊で撃破出来る。
「本部に通達。
米中戦車……いや、待て。
無線機を切れ」
「はい?」
「良いから無線機を切れ!」
「はっはい!」
突然隊長が権幕を張った。
そう、隊長は見逃さなかったのだ。
あののっぺらぼうが『揺れた』のを。
次の瞬間、そののっぺらぼうが浮き上がった。
その下にあるのは巨大なメインローター。
そして、コックピット。
「アパッチ・ロングボウ!」
思わず叫ぶ。
どうやら、俺達はアパッチのメインローターの上についているロングボウ・レーダーを戦車砲塔と勘違いしていたらしい。
稜線から完全に姿を現したアパッチ。
見えていたのは1機だけだったが、続けざまに2機、3機と出てくる。
「6、いや、7機はいますそれにコブラも……」
必至に数える。
これでも十分に悪夢だが、更にきた。
再び稜線から姿を現した戦車砲塔。
しかし、その砲塔のサイズは明らかにおかしい。
猛烈な廃熱を出しながら稜線を上がったもの。
それは、M1A2SEP。
エイブラムス主力戦車だ。
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