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しかも、それらが火を吹いたのはガダルカナルでの1回こっきり。
後々の事を考えても、十二分に撃てるだけの弾薬はある筈だ。
「三沢が伝えに行ったから、本部も米軍の本体が近くにいる事を知っている筈。
しかし、何故にこんな大名行列を……」
大名行列……
隊長の言っている事は分かる。
戦車は本来、歩兵の援護をする為に存在するものだ。
完全自動化された現代も、その原理は変わらず、装甲車と共に行動をする事が多いい。
戦車は強力で防御も絶大ではあるものの、歩兵火器に対しては以前と弱いのも事実だ。
それに、M18やM4なら分かるが、M6重戦車もいる。
つまり、非常に遅いのだ。
これではただの的だ。
過信しているのか?
いや、そんな訳がない。
エイブラムスはまだしも、他の戦車は日本軍の5式に叶う筈もないのだから。
そもそも、5式中戦車の105mmライフル砲は、エイブラムスの背面装甲なら貫通出来る可能性があるし、履帯だって切れる。
なのに何故……
地響きを唸らせながら、谷を通り過ぎる戦車隊。
4両のエイブラムスを中心にしながら、目の前を通り過ぎていく。
今直ぐにでも01式を食らわせたい所だが、それは我慢。
俺達の任務は偵察であり、そして、俺達の火力では同時にこれだけの数を相手にする事は出来ない。
数両撃破された所で、アパッチの30mmチェーンガンやヴァイパーの20mmガトリングの雨を浴びて、俺達は一人残らず消え去るだろう。
俺達は、偽装の施されたIRシートの下でうずくまるしかなかった。
10分後 マウナロア山東側中腹 日本軍戦車中隊集結地 鈴鹿視点
俺達即技隊は、装甲車に乗ったまま日本軍の終結地点にいた。
自衛隊車両もいる。
そして、この場にいる全車両に対空警戒が発せられたのはつい1分前の事だ。
どうやら対空レーダーが、マウナケア山とマウナロア山の中間地点で待機する攻撃ヘリを見つけたらしい。
いくら優秀なレーダーとはいえ、山の裏側は見えない。
UAVも、撃墜を案じて(というより既に1機落とされている)退避している現在、この探知能力が限界だった。
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