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男がどんどんこちらに近づいてくる。
とりあえず気配を変えず、男を観察してみた。
「…………」
しかし、男はこちらを全く見ることなく社の前を通過する。
手拭いの下の目は、注意深く前方を見据えていた。
故意に私から目を逸らしている様子も無い。
どうやら、私やお鈴ちゃんが見えているという訳ではなさそうだ。
男の視線を追って、前方を見ると、ちょうどさっきの女の人が垣根を曲がる所だった。
お鈴ちゃんは既に彼女に追い付き、一歩後ろを歩いていた。
わずかに男の歩く速度が上がる。
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