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「ん、結構甘いやん」
「ね」
錦織の着物を着た市松人形のような愛らしい童女と、猿公の面をつけた白髪頭の男という組み合わせは、端から見るとかなり奇妙に映るだろう。
私達の姿を視ることが出来る人間は稀だが、そこはかとなくバツが悪い。
しかしお鈴ちゃんが遊びに来てくれたお陰で、橘のお礼が出来るかもしれない。
「お鈴ちゃん、一つ頼まれてくれるかい?」
「別にええよー。何したらいいん?」
橘を行儀悪く口に放り込むと、お鈴ちゃんは着物の裾で指を拭った。
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