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「……それでも、助けになりたいんだ。
お鈴ちゃん、お願いできないだろうか……」
じとり、とした視線が貼りつく。
お鈴ちゃんは苛ついているような、呆れているような表情で私を睨んでいた。
「……ったく」
最後の一口を口の中に放り込むと、お鈴ちゃんは猫のような身のこなしで社から飛び降りた。
「すおーちゃんのアホ!お人好し!そんなんやで若死にしたんやでっ!!」
威嚇するように歯を剥き出され、わずかにうろたえてしまう。
「ご、ごめん……」
「まあ蜜柑の分くらいは働いたるわ」
そう言うと、軽い身のこなしで雑踏の中に駆け出していった。
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