序章

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「お前さん、変わった色の目をしてるね」 ぞろりと伸びた前髪を横に分けると、生前、産みの親でさえ気味が悪いと忌み嫌った双眸が露になる。 赤茶けているようで、少し黒の混じったような紅よりの紫。 そんな色の瞳を、自分でさえ嫌悪した。 人目につかないよう長い前髪でずっと覆い、下を向いて生きてきた。 「赤紫……じゃないね。 うん、蘇芳。蘇芳の色だ」 「……すおう?」 そうそう、と猿田彦様が頷く。 見上げると、自分よりずいぶん高い位置に頭があった。 7尺はあるだろうか。 まるで猿を何倍も大きくしたよう体躯と、猿には不釣り合いな深い思慮と叡智に満ちた琥珀色の瞳。 しかし、その表情は不思議と気さくな柔らかさに満ちている。 常人の5倍ほどの大きさの手が伸び、ぽん、と頭に何かが載せられた。
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