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その後、彼の息子がその後を継いで新しい城主として君臨し、しばらくは何の異変もなく、平穏が戻ったかのように思われた。
しかし、城主が齢二十を越え、他家から妻を迎えた日を境に、彼は“白い蛇”の悪夢に悩まされるようになる。
夜な夜な、夢に白い蛇が出てきては、彼の体に絡みつく。
夢の冒頭で、彼は城の庭の一角の、藤棚の前に立っている。
見たこともない、美しい藤の樹にしばし見とれていると、いつの間にか足元に真っ白な蛇が這っていた。
腰に差した刀を抜き、何度も突き立てるが、不思議なことに何度斬っても蛇は死なず、体はすぐに元に戻るのだ。
始めはそこらの蛇ほどの大きさだった白蛇が、いつの間にか彼の胴体よりも太く、長さはゆうに六尺(※約180センチ)を超し、巨大化したそれは彼を締め上げてゆく。
血の巡りは止まり、前身の骨が砕けるほど強く締め付けられても、彼は意識を失うことが出来ない。
全身を襲う激痛にのたうちまわりながらも助けを求めて喚くが、誰も駆けつけない。
目を醒ます直前、彼の目の前には決まって、血にまみれた首の無い女と、藤棚で首を吊った男の姿が現れた。
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