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高僧の言ったとおりに、自分の伯父と伯母を手厚く供養し、城の庭に祠を建てて白い蛇を祀ると、城主は徐々に快復し、悪夢を見ることも少なくなっていった。
藩の財政も持ち直し、赤字は徐々に黒字へと潤うようになる。
誰もが、平穏を取り戻したと胸をなで下ろした。
しかし、翌年に突如、城主の奥方が亡くなった。
一月後、後を追うように城主も衰弱死し、城内は騒然となった。
死んだ城主の体には、一度は完全に消えたはずの痣が黒々と全身を覆っていた。
城主の死後、彼の息子があとを継いだが、結婚の翌年に若くして頓死する。
その後も何故かその藩では、藩主が妻をめとるたびに、5年と経たず早死にするようになる。
苦肉の策として、男児ではなく女児を擁立し、婿を迎えて藩主を立ててもそれは変わらずに続いた。
しかし、一方で藩の財政は潤い、戦乱の世から徳川の治世を迎えても、今現在に至るまで興隆を極め続けている。
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