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<font size="2">「サクラ、サスケ・・・ナルトも何やってんだ」
「だってこいつがナルトの悪口言ったんだもん」
「サクラちゃんも思いっきり蔑んでたってばよ・・・」
「なんか言った?」
「いえ、ナンデモ」
笑顔でぐりんっと振り返ったサクラがちょっと怖い。
「サスケも、ナルトにいちいち突っかかるなって」
「・・・ふん」
プイッとそっぽ向いたサスケにサクラがまたキレた。
「ナルトに謝れ団扇佐助ーーー!」
「団扇じゃねえ!」
「おいおい・・・」
またもや喧嘩勃発。イルカは胃が痛んだ。
(ナルトとサスケなら男同士だからわかるが・・・サクラとサスケはなあ)
まあ、サクラの怪力はクラス随一だが。
イルカの溜息など露知らず、サクラとサスケは(主にサクラが)胸倉掴んで罵り合っていた。
「ほらほら、卒業試験始めるぞお前らー」
「はーい」
「・・・ちっ」
「やっと収まった・・・」
ナルトは僅かの間に苦労性と成り果てていた。
一人ずつ呼ぶから来いよー。といい、イルカは教室を出た。
すぐに呼ばれた一人目は、嬉しそうに額当てをもらって帰ってきた。
名前順だから、早くもナルトの番。
緊張しながら教室に入る。
―――えっと、分身の術!
ぼふん、と煙に包まれ、直後に現れるのはナルトの分身。・・・のはずだった。
「・・・あれ?」
「・・・ナルト、その術違う」
「え?あ!」
顔真っ赤なイルカとその他教師。その反応で、分身の術ではなく『お色気の術』を発動したらしいと気付いた。
慌てて印を組みなおせば、今度は成功したらしい。
イルカが赤い顔のまま木の葉の額当てを持ち、ナルトに渡した。
「合格だよ、ナルト」
「やったぁー!分身できた!サクラちゃんのおかげだってばよ!」
「ナルトが頑張ったからよ」
自分よりも僅かに低い位置にある金色の頭を撫でた。気持ち良さそうに目を細めるナルトが、可愛くて仕方ない。
ナルトが自分を好いていてくれるのは、自惚れでもなんでもなく知っている。
だけど、それがあんな事件に発展するなんて、思わなかったんだ。
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