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「道に落ちてるもんを食うな、っつったろ!」
「落ちてません、買ったんです!間違いなくこの手で買いました!」
皆さん、こんにちは。
ピカチュウのセージです。
朝っぱらから大声でがなり散らしているのは、おなじみわたくしセージと雷丸サンのでこぼこコンビです。
宿屋すげぇ迷惑。
何故にこうも近所の迷惑も省みず怒鳴り放題しているかと申されれば、これには深い深いマリアナ海溝よりも深い訳があるのです。
「急に人間になるなんて聞いてねぇんだよ!」
ああもう雷丸サンのばかばか!
いきなり核心突きやがって空気嫁、ですよ!
「わたしだって聞いてねぇですよ!大体、人間になれるって分かってたらとっくになってます!」
「そんなに人間が良いのかよ!」
「大好きですよ、人間!」
「だって人間だもの!?」
「いいな、いいな!」
「にーんげんって、い、い、なーっ!」
待て、人間ネタで統一するの、待て。
朝起きてから叫び続けて息も絶え絶えです。
その上ネタ仕込みとか待って下さい。
「ちょっと落ち着きましょう、わたしたち。」
「ごもっともだな、こりゃ。」
2人で布団の上に座り込んでため息です。
朝から全力疾走した気分ですよ。
さて、息を整えている間に、今のわたしの格好を説明させていただきましょう。
「ブランブランさせてねぇで、これ着てろ。」
「ちょ、乙女が見ているかもしれない所で何言ってんですかアンタ!?」
またも雷丸サンに先にリークされてしまいましたが、わたくし素っ裸です。
だって寝る前までピカチュウでしたから!?
しょうがねぇですよね?
ね?
年の頃は13、14歳ぐらいみたいです。
声は杉田ヴォイスのままですが。
さっきまで雷丸サンと立ち上がっていたので、背の高さ的に胸筋ぐらいまででした。
髪を引っ張ってみると金髪ですね。
ところどころ茶色のメッシュが入っています。
耳があります。
人間の耳です。
稲妻型の尻尾はありませんが、代わりかどうだか、左の太ももに入れ墨みたいに稲妻マークが入っています。
目の色は、えーと目の色はですね…。
鏡ねぇですかね。
「雷丸サン、わたしの目の色、何色ですか?」
「ああ?黒だよ。」
黒でした。
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